勝谷誠彦氏 28日未明に死去 57歳 公式サイトが発表
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6304828
ご冥福をお祈りいたします。
勝谷氏は8月21日、毎朝メール配信する有料配信コラム「勝谷誠彦の××な日々。」で「腹痛と膨満感で、3分ほども座ってられない」「まえ屈みだと、右脇腹に激痛が走る」などとつづり、緊急入院。アルコール性の劇症肝炎と診断された。
とあるように、アルコール依存による死と見てもよいでしょう。
勝谷誠彦氏ほど有名ではないものの、私も含めて多くのライターがアルコール依存によって、心身を害して、最悪の場合若くして亡くなったりしている。
そもそもフリーランスはアルコール依存になりやすい。
時間が自由になりやすいし、毎日出社する必要がなく、上司もいないので、酒を飲んでも怒られることがまずないです。ですから時間が空いた時には昼から酒飲んでいたりしますし、二日酔いになったとしても出社の必要がない。
そのため夜遅くまで深酒をしてしまいがちになりますし、昼から酒を飲むことに対する歯止めがまずいない事が多い。
さらに言えば定期検診が強制的でないので体調や精神が社会生活を営むのが不可能になるぐらい悪化しないと医者にいかない人も多いです。
かように、フリーランスというのはアルコール依存になるのに好都合にできている。
そういった外的要因もあるますが、実は内的要因の方が深刻にアルコール依存になりやすいものを抱えている物書きの人が多かったりするのが、悩ましいところなのです。
そもそも文章を表現に選んだ人が自分の文章が表現したい事を表現できていると思っている人はほとんどいないんじゃないでしょうか? いるとすればただ単に未熟で自分の力量をわかっていないか、よほど精神が物書きである必要がないぐらいプラス思考で自信過剰の人でしょう。
ほぼ大半の物書きは、自分が表現したいことの十分の一も表現できていません。
物書きのほとんどが「仕事にとりかかりさえすれば早いのに、なかなか取り掛からない」という理由もそれにあります。
物書きは誰も本質的に自分の原稿を完成させたくないのです。
自分の原稿を完成させてしまえば、物書きは嫌でも自分の完成原稿と向き合うことになります。しかし、ほとんどの場合、その完成原稿は自分が表現したいことの十分の一も表現できておらず、だいたい自己嫌悪に陥ります。
締切や生活の心配がなければ、物書きはだいたい「醜い自分の完成原稿」と向き合いたくないのです。だから締め切りギリギリまでウダウダしているし、書きたくないとワガママを言ったりする。
そこで優秀な編集者はなんとか原稿をホメたり、細かいチェックや直しでクォリティが上がったりしたことを伝えたり、少しでも物書きの自己嫌悪を解消して、原稿を締め切りまでに上げさせようとします。
また、物書きがやたら感想を欲しがったり、Twitterなどで暴れたりするのも、その自己嫌悪に対する裏返しとしての承認欲求に寄るものだと思います。
少しでも感想がくれば、自己嫌悪の塊みたいな完成原稿も、マシに見えるし報われた気分になったりします。だから、物書きには感想送ってやろうな!
話はそれましたが酒の話です。
原稿を完成させるたびに訪れる自己嫌悪や自己肯定感を、酒はとても簡単に埋めてくれるのです。
酒を呑むと気分がよくなりますし、自分に無敵感を抱かせます。
しまいには自分が天才であると錯覚さえさせてくれます。
これが自己嫌悪の塊みたいになっている物書きにとってはたまらない快感なのです。
「こんなものを書いてしまった……オレはなんてダメな物書きなんだ」と思っている所に酒が入ると「けっこう良いもの書いたじゃん、オレって天才?」と酒は一時的にでも錯覚させてくれます。
つまりは、物書きにとっての最大のストレスである「完成原稿に対する自己嫌悪」の特効薬に酒はなりうるんですね。
私は原稿がそのままおかしくなるので酒飲んで原稿を書きませんが、かなり多くの物書きの人が酒の勢いを借りて原稿を書いたりしていました。
あれって酒の勢いというより「原稿を完成させてしまうことの恐怖と自己嫌悪」を逃れられるからなんですよね。別に酒が特別なインスピレーションを与えてくれるというわけではないのです。
このように物書きというのは本質的にアルコールに依存したくなる職業なんだと思います。
よく言われるようにアルコールがインスピーションを与えてくれねるというわけではないんです。
ただ、アルコールは「自分が表現したいことの十分の一も表現できていない完成原稿に対する恐怖と自己嫌悪」をそれはそれは優しく埋めてくれるのです。
そのため酒の力を借りて原稿を書く人は多いですし、私のように原稿を書き上げてから、その自己嫌悪から逃げるように酒を飲み始める人も多いのです。
いつだって感じる自分に対する力不足に正面から立ち向かうことの出来ない弱さ。
それが自分が酒を飲んでしまう理由でありました。
これについてはけっこう同意してくれる物書きの人は多いのではないでしょうか?
まあ、だから本格的に体壊す前に、なんとか酒なしでいられるように断酒しているんですけどね……。あっさり死ねるなら酒のんでのたれ死にしたいぐらいですが、そうもいかず色んな人に迷惑かけますからね……。
つらい。