【ADF】『After Devil Force』初期設定&企画書

事実上、私の創作者としての商業デビュー作品の企画書

昔はこういう企画書や設定を一日で書き上げる無駄な体力と気力があったが、今はそんなのなくなってる。

設定も最低限しか書かなくなってて、衰えているのか無駄がなくなったのか? よくわかんねえ。

ただ前にアップした『OUT OF MEMORY』に比べると格段に洗練されている内容になったと思う。

1996年の夏頃に一気に書いてコンパイルに提出した。

あれから2年ぐらいだから、なんだかんだで黒歴史ノートの積み重ねは無駄になっていなかったんやなって今ならば思える。

よく読むと、『累卵の朱』や『越天の空』の原型も垣間見える。

目次

ログイン・ディスクステーション提携企画
The chronicles of FORLIS

制作 コンパイル、アスキー
企画、原案 大澤良貴
世界設定、原作 六晶企画
ヴィジュアルワーク 志水アキ

世界設定原案
アクロディア大陸西方亜大陸“フォーリス”

設定概要

全世界の陸地面積の半分以上を占める最大の大陸アクロディア。フォーリスはこの大陸の西方に位置する亜大陸を中心とする一大文明圏の総称である。
南北にかなり気候の差があるものの、基本的に温帯に位置するため人間の居住には適している。

このためこの地域はその広さの割に人口が多く、それがこの地域に大文明圏を成立させた大きな要因であると言えるだろう。

さらに解説すれば、フォーリスの気候は大きく四つに分かれる。

まずフォーリスの中心部に広がる中洋海(レヴィアス内海)周辺部の雨量の少ない亜熱帯気候。

南フォーリスを貫くウージェス山脈以南の高温多雨な気候。

フォーリス亜大陸の背骨と呼ばれるカウルス山脈以北の温帯。

さらに北フォーリスと呼ばれる地域の寒冷部、というように大きく四つに気候区分がされている。
大陸の中でも氷河期の影響を大きく受けたためと思われる複雑な地形を持ったこの地域には、四つの気候とあいまってかなりの多様性を持った文化圏を各地に発生させる事になった。
面積の割には多い人口と多様性を持った文化の数々。

人間の歴史が必要以上のダイナミズムを生み出すのに、これ以上の好条件はなかったと言えるだろう。

“フォーリス”歴史設定

歴史概要

前述したように、この地域の歴史は、よく言えば非常にダイナミズムに富んでおり、悪く解釈すれば平穏などというものにはほど遠い事象を刻んできたことを特徴としている。
以下よりこの地域の歴史を解説するが、この地域では時代や地方、王朝などによって様々な暦法が使用されてきた。

そのためフォーリス全体の歴史を解説するには煩瑣に過ぎて適さないと考える。

ここでは、大陸東方ジャクリアの暦法で、大陸の各所で長く使用された暦法である“帝暦”を使用させていただく。

・文明の発祥 帝暦1000年ごろ

この地域の文明の発祥は帝暦千年ごろと考えられている。この頃フォーリス東部のケレス都市国家群、ラッツェル文明、フォーリス西部のクシア文明、北フォーリスのズィス民族など多数の文明が前後三百年ほどの誤差でフォーリス各地で成立していた事が確認されている。
これらの文明のうち次第に勢力を拡大し、他の文明を侵略、吸収していったのは、フォーリス西部の中洋海沿岸部に発祥しフォーリス西部のほぼ全域を制したラウム。

南フォーリスに成立した海洋文明マドゥック。

大陸中央部よりフォーリス東部に侵入し一大帝国を築いたコーネル。の三大文明である。

・三国時代 帝暦2000年代

ラウム帝国の母体となったのは帝暦千年ごろ中洋海沿岸部に発祥し、豊かな農業生産力を背景にして繁栄していたラウム文明である、
素朴な原始共産制を敷いていたラウムは、東に勢力を広げケレス都市国家群を支配下に収めた事によって、都市国家群の洗練された共和制度をも吸収する事になる。彼らはラウム文明人を市民とし、他民族を奴隷とするラウムは評議会と元老院による共和政治を行い、長い安定期を迎える。

この共和政治は二百年ほど続くが、北フォーリスの蛮族鎮圧に功あった軍人エクンドラが謀略や政治工作などで政治権力を握り、独裁制に移行する。この後、エクンドラも暗殺され、ながい権力抗争の末、ネユーフ・アダマンドという軍人がラウル帝国の初代皇帝として君臨し、西フォーリス全土を制するラウム帝国が成立する。
ちなみにフォーリスというのこの地域の名称はラウム神話における大地母神よりきているという説が有力である。

レヴィアス内海の名は荒ぶる海神の名からきている。
東方より移住してきた民族が成立させた帝国コーネルは、この地方に大きな二つの文化をも移入させた。

それは鉄器と騎馬である。

当初、この特に軍事において破壊的効力を持つ文明を備えた東方民族は、フォーリスの諸文明にとってよほど驚異であったようだ。

どの文明の記録や記憶にも東方の騎馬民族の侵略や掠奪と思われる形跡が数多く残されている。

その東方民族の主立った民族を糾合し、フォーリス東部に築かれたのがコーネルである。

おそらく軍事的にはこの時代最強の国家であろうコーネルは、東部フォーリス一帯を支配することになったのである。
中洋海とはウージェス山脈によって懸絶されてきた南フォーリスの民たちは、ウージェス山脈を渡る路を発見し中洋海を見出し自分たちの行動範囲が広がったことに対して熱狂的に感激した。

とはこの地の歴史家の言葉である。

事実、中洋海を発見した後、南フォーリスの民たちは海を介してフォーリス各地に進出していった。

合わせて南フォーリスの海洋民族と呼ばれる彼らの一部は、帰巣本能に駆られたか南フォーリスにさまざまな産物を持ち帰った。

中洋海一帯に広がった彼らはやがて相互に連絡し合うようになり、一大海運国家を築く事になった。

これが南にあって、しばしばラウムを脅かしたと言われる、南部フォーリスの大海運国家マドゥックの成立である。

・ ラウム大帝国の成立 帝暦2371~2499年

ニ百年にも及ぶ三国時代に終止符を打つのは、西のラウムであった。ダンジゲル帝、女帝ファシス、女帝デュエズ、ビュィズ帝、ヨウスと傑出した五人の皇帝を続けて輩出したラウムは、長き渡る宿敵であったコーネルとマドゥックを圧倒し、ついにこれらの大国とその植民地を支配下に収めるこに成功する。
こうしてフォーリスは一度統一され、最初の文明、文化の爛熟期を謳歌する。

この時代、魔導が一気に発達し、人々の生活(といってもラウムの市民だけだが)に供される。

ラウムが別名、古代魔導文明と呼ばれるのはこれによる。

宗教についても、ラウムの国教とした一神教がフォーリス全土に広がり、後世にまで多大な影響力を持つようになるのであった。

・ 蛮人の侵略 帝暦2499~2522年

帝暦2499年、西フォーリスに広がる黒き樹海の彼方より、金髪碧眼の蛮人たちが襲来する。

始めは植民地単位で彼らの襲来を抑えていたが、そのうちラウムに搾取され続けていた植民地や奴隷たちの中も彼らに同調しはじめ、ラウムの本体を揺るがし始める。

これに対し、ようやくラウム本国の政府と軍が動き出すが、もはや長い爛熟期を経ていたラウムは腐敗の極に達しており、政府は対応能力を持たず、出征した軍隊は敵と戦うより植民地を収奪する事に熱中するありさまであった。

・ 魔道大戦 帝暦2520年~2600年代

蛮人の襲来に苦戦するラウムは、ついに暗黙の禁忌であった魔導を軍事的に用いる事を決意する。ラウムでは十二人の若く有望な魔導師たちが選抜され、蛮人(北方騎馬民族)たちの鎮圧にあたらせた。しかし、彼らは出征先で彼らは自国の植民地収奪や軍の掠奪の実態を知り、ラウムに正義無しと判断する。そして彼らは母国を裏切って植民地解放の戦線を築くのであった。
この魔導師たちの反逆に対して、ラウムもまた自国の魔導師たちを総動員して対応する。ここに先史人類たちの最大の悲劇と言われる魔導大戦が勃発する。戦術核兵器並みの威力を持つ上級魔導師たちの戦いは、フォーリス全土を巻き込み百年近くも続いた。この間に先史人類たちが築いた文明も文化も徹底的に破壊され、フォーリスの人口も一説には十分の一にまで減ってしまった。

・暗黒時代 帝暦2600年代~2800年代

地獄という以外、あまり語るべき言葉を持たない時代。国家を築くどころか人間はひたすら生きて子を産み育てることが精いっぱいであった時代である。

・ 第一次戦乱期 帝暦2800年代~2924年

そして、ようやく復興の兆しを見せた人々は、再び各地に国家を築き始める。

しかし、あまりにも愚かしい事に、乱立していった国家群が撰んだ道は共存ではなく、互いを食い合う事であった。

・邪教の支配と戦争 帝暦2900年代~3004年

(『 DEVIL FORCE 』の時代)
未だに残る魔導大戦の傷痕、戦乱に苦しむ人々は宗教に救いを求めた。

西フォーリスの黒の樹海に興った魔導を否定し自然と神を崇めるというドルード教(森帰教)は、急速に信者を集めて勢力を拡大していった。

そしていつしか肥大化していったドルード教は、西フォーリスを支配する巨大教団として、国家を超えた力を持ちはじめるのである。

そしてその過程において、教団は変質し強大な力を持つ魔導をもって世界を支配し、すべての文明を破壊し森へと返すという当初の教義とはまった違った教えに、教義が歪められていくのであった。

その歪んだ教義を指導していたのが、教団の教皇ドルメーガである。

彼は支配下のリンギット帝国の皇帝ラーズルをそそのかし、東方征服の“聖戦“を起こす。

これに対抗して、東方諸国は団結するが苦戦はいなめなかった。ここに邪教戦争と呼ばれる、凄惨な宗教戦争が興る。
この戦いは後に聖王女と呼ばれたエルフリーダが率いるザクレブ王国軍とルードヴィクス傭兵団の活躍、リンギットの皇帝ラーズルの反逆などによってドルメーガは倒され終結する。
ちなみにドルメーガ亡き後、本来の教義に戻ったドルード教は、再三の弾圧にも屈せず、再び森を崇める穏やかな教団として後世まで残る。

森のごとく静かに、強く教えを受け継いでいく教団らしいエピソードである。

・ 第二次戦乱期 帝暦3005年~3297年

ドルード教の勢力が滅びると、フォーリスも元の状態に戻り、各地で国家が乱立し治乱興亡を繰り返す時代が訪れる。

・ アクロディアの侵攻 帝暦3297年

第二次戦乱期が、それぞれの国家が互いの独立を認め始め、いくつも国家が収まるべきところへ収まるという形で比較的穏便に戦乱の時代を終えようとしている時代の出来事であった。

フォーリスにとつては魔導大戦以来の全土を揺るがす出来事が訪れる。
大陸の東方ジャクリアにひとつの大帝国が出現する。

大陸においてもっとも肥沃なな大地と大人口を抱えるこの地に成立した大アクロディア帝国は、その初代皇帝アーキクロイド・エレ・ノヴァの征服欲の赴くままに、大陸を飲み込もうとする。

優れた兵器と強大な兵力、掣肘なき大魔導、悪魔のごとき有能な将軍たちの力により、かつて大陸に存在しなかつた強大な軍事力は大陸の全国家を圧倒し飲み込んでいった。

そしてそれは大陸の西端であるフォーリスも例外ではなかった。

陸海共同でフォーリスになだれ込んできたアクロディア軍は、またたくまにフォーリス全土を席捲していった。こうして、フォーリスは同地域の出身者によらぬ手で再度の統一を強いられたのである。

この出来事も十分に衝撃的であったがフォーリスの人々にとつてもっと衝撃的だったのが、自分たち以上に発達した文明を持つ者たちに完膚なきまで叩きのめされたことであった。

・ 統一時代 帝暦3298年~3326年

あいつぐ各地の反乱を武力で叩き潰しながら続いた、アクロディアによる統一はわずか5年で潰え去る。

初代皇帝の死により、急激すぎた大陸支配が崩れ、大陸全土で反乱が相次いだためアクロディアは帝国そのものが危うくなったのである。

この好機に各地のアクロディアに反発を持つものたちは一挙に蜂起したのであった。
この独立勢力は植民地支配軍と大国アクロディアに従い続ける勢力に対抗し、二十年にもわたる独立戦争を戦い抜かねばならなくなるのであった。

・ 七大国時代 帝暦3333年~3351年

東方の支配のくびきより脱したフォーリスは、独立戦争において特に活躍した七大国が大きな発言権を持つようによる。

これらの国家は、互いにいくつかの条約を結び、再びフォーリスが侵略を受けぬようにする連合軍構想や貿易や外交の協定など、後にこれがフォーリス全土を支える国際法や倫理の雛形となるのである。
後にもっとも平和に近づいた時代と呼ばれる時代ではある。

・分立安定期 帝暦3350年~

しかし、七大国の支配はあまりにフォーリスの諸民族や各文化圏の事情を無視した構想であった。

この後、七大国の支配は崩れ、フォーリスは各地の地方の事情に合わせた諸国家に分裂する。

とはいえ、それまでの戦乱期のような国家と国家が血と血で応酬しあうような時代ではもはやなく、分裂して互いに牽制しあいつつ、微妙なバランスをもって安定する時代が到来したのであった。

ディスクステーション19号企画
“AFTER DEVIL FORCE”
『狂王の後継者』
仕様第一案

舞台設定

分立安定期中期のフォーリス東部諸国
 月命暦216年(帝暦3549年)

あらすじ

月命暦216年、偉大なる王シシス・クォーダⅧを亡くした東部フォーリスの小国クォーダは、これまで同盟国であったラウルからの侵略の危機にさらされる。
シシスの跡を継いだ若干15歳の若き王カシス・クォーダⅨは、即位早々に大国ラウルの侵攻に対さねばならなくなる。
カシスにとって敵となるのは正面の敵ラウルだけではなかった。

彼は絶対的な国力の不足、王を亡くした国内の混乱、実績なき自身の国内国際的な信用の不足、有能とは決して言えぬ老臣たちの干渉などなど、彼の前に立ちふさがる障害はあまりに多い。
彼にとって味方、そして武器と言えるのは、父の遺産と言える若く優秀な将領たちと、後に希代の軍師と言われる年上の友人エスク・ガノブレードのみであった……。

登場国設定概略

クォーダ

・首都 カイラス
・ 人口 70万人ほど
・ 概要
フォーリス東部の諸国家の中でももっとも人口が少なく、産業も牧畜とささやかな鉱業程度しかなかったという貧しい小王国。カウルス山脈の山岳民族のひとつであるクォールが、地の利を活かして何とか独立を保っているという状態にある。
このクォールという民族は、長い間隣の大国コーネルの支配下にあり奴隷同然の搾取と抑圧を受けていた。

月命暦6年、コーネルに対抗するように大国ラウルが成立したため、クォールの民たちはラウルの力を借りて独立して、クォーダを成立させたのである。
独立時に力を借りた大国ラウルに半ば従属するような形で同盟を結んでおり、戦争勃発時の兵力の供出と世継ぎをラウルの首都ネフィルに“留学”させる事を義務づけられている。
そういった貧しい北の小国に奇跡のように現れたのが、独立より八代目の国王シシス・クォーダⅧである。

彼は自国が独立の事情から国民と王家の間に同志的意識が存在し、貧しいながら独立を保つためにフォーリスでも珍しく兵役を義務としているため、人口のわりに動員兵力が多い事に目を付けたのである。
シシスは兵力の一部を傭兵師団として編成、訓練し諸国に貸与する事により外貨を稼ぐ事を考案し、実行する。

当時、大部分の国家が傭兵と封建貴族の私兵に兵力の過半を頼っており、このようにまとまった兵力を用意できるクォーダ傭兵師団は、相当に重宝な存在であった。

また、シシスが戦略戦術に天才的な能力を発揮し、常に勝利者の側に荷担した事から、彼ら傭兵師団の名は一躍クォーダ全域に知れ渡る事になる。
シシスと傭兵師団の活躍によりクォーダはかなりの外貨を稼いだ。

またシシスは諸国に赴くときに必ず技術者たちを同行させ、軍事や鉱工業の技術を学ばせ自国に持ち帰らせていた。

どうやら、彼は自国民の犠牲を強いる傭兵国家を長い間続けるつもりはなく、鉱工業を発達させ、クォーダを産業立国として成り立たせようと考えていたようであった。

しかし、それが達成される前にシシスは視察先の兵器廠の事故により急死し、彼の志は中途にて頓挫してしまう。

そして、彼の跡を継いだカシス・クォーダⅨには、中途に終わった事業の歪みが一挙に押し寄せる事になったのである。

・ 国家体制

クォーダ王家による王政であるが、民族独立運動の末に独立したような国であるため、封建貴族のようなものは存在せず、国民と王家の距離が小さい事を特徴とする。

こういった体制にさらにシシスが政治に軍事に強大な指導力を発揮したため、彼の下半ば挙国一致体制のような状態になっていた。

しかし、シシスの死後、彼によって国家の中枢から外されていた貴族たちが勢力を盛り返し、王家の指導力を弱めようとしている。

・軍事

常備軍、4個師団約1万5000人
第1師団/約4千人 師団長リューダス
いわゆる、クォーダ傭兵師団と呼ばれる師団がこれである。

クォーダにおいては最強最大の師団として格上の扱いを受けている。

フォーリス各地で戦う事情がそうさせたか、状況により各種の装備が用意されているなど、先駆的な操典で運営されている。

シシス在世当時はシシスが師団長を兼任し、彼の下で教育されていた大隊長クラスの若者たちが、最終的にこの戦いの師団長として活躍する。

第2師団/約3千人 師団長マグナス・ガルト
傭兵師団である第1師団の留守を守る師団であり、常に自国を守るのは自分たちであると教育され、それを誇りとしている師団である。

師団長であるマグナス・ガルトは、シシスによる軍部の変革にも生き残った老将であり、難局にもその豊富な経験をもって実に粘り強い用兵を行う。

そしてそれがそのまま彼が長い間手塩にかけて育てた第2師団の性格となっている。

また、山岳国家のクォーダを守るという役割からか、山岳戦を特に得意としている。

第3師団/約3千人
第1師団のサポート的存在となっているのがこの第3師団である。

第1師団同様、多種多様な戦場での戦いの訓練を受けており、第1師団の損耗が激しいときや第1師団とは別に師団を派遣せねばならない場合には、第1師団の代わりに傭兵師団として派遣されることになっている師団である。

第4師団/約3千人
第3師団が第1師団のサポート役であるとすれば、第4師団は第2師団の補佐役と言える。

国家の最後の守りという役割を負わされ、平時は首都カイラスの守備の任に当たっている第4師団は、ほとんどの兵力を重装歩兵に当てられており、火器刀槍に対する防御力は全師団中でも最高を誇っている。

近衛大隊/約500人
通常、近衛隊や親衛騎士団といった部隊は、典礼用、宮中の警備などを主任務とする。

クォーダの場合国王自らが戦場にあるため、第1師団にならぶほどの戦歴を誇る実戦部隊になってしまっている。

確かに典礼用装備というものは存在するが、部隊の連中が右翼大隊長ラデュスを始めとして精悍なる猛者ばかりであるので、あまりそぐわないと評判である。

装甲擲弾騎兵支隊/約1000人
別名、竜騎兵大隊。

シシスの晩年に新しく編成・訓練されていた部隊である。

胸甲に騎兵銃、擲弾、馬上槍、サーベルを装備した世界では初めての装甲擲弾騎兵であり、各師団の指揮系統から独立しておりシシス直属のクォーダ最強の戦略的打撃兵力として期待されていた。

ラウルとの紛争では、その機動力と打撃力によってラウル軍を悩ませた。

後にコーネルの魔導部隊に対して悪魔的な強さを発揮して、魔導部隊による遠隔攻撃という戦術を時代の奥へと去らしめた兵科となった。

シシスの指導によってフォーリスでも有数の火力を持ち、動員兵力以上の働きを期待できる。

また操典や運用の面でも近代戦術の萌芽と言える部分は見受けられる、非常に優秀な軍隊である。

反面、産業や農業生産力が、まだ完全に軍を支えるまでに発達していないという事情があり、補給面で他国の支援は不可欠なのである。

さらに、人口の少ない新興国のため、魔導師がほとんどおらず。国家に仕える魔導師はわずかに11名しかいない。このため、魔導師たちは軍事や外交の連絡役、諜報、防諜程度の役割しか果たしていない。

最大動員兵力、10個師団約3万人
ただし、これは経済負などを度外視した動員体制の場合による試算である。

兵の装備や練度、士官の指揮能力などの理由で予備兵力の役割以上は期待できないと考えられている。

今回の戦いではついに総動員体制は取られたものの、戦争後の経済力維持などの事情からついに第5師団以下の兵力が使用されることがなかった。

逆に言ってしまえば、予備兵力で戦わねばならない状況になってしまっては、勝利しても国内の疲弊は激しく元も子もなくなる。

それであったならば、賠償金や領土の割譲などの条件を提示してラウルに降伏したほうがましであると、クォーダの指導者たちは考えたのである。

ラウル

・首都 ネフィル
・ 人口 約950万人
・ 概要
七大国時代のひとつシリュガの崩壊後、フォーリス東部の西半分は小国家が乱立する混乱状態となった。

そのためフォーリス東部には東の大国コーネルの影響力が大であったが、それに対抗するような形で、乱立する小王国の内民族を同じくするベッキオ、ルフ、アネスが合併し(ネフィ神殿の盟約)、周辺諸国を併呑して成立した国家である。

フォーリスでは比較的新しいと言ってもよう国家であり、現在では国家体制がかなり古びてきているコーネルを国の総合力を引き離しはじめていると言ってもいいだろう。
ちなみに国名であるラウルの由来は、ネフィ神殿がかつてフォーリスを支配したラウム帝国の聖域であり、ラウムの後継者であるという事を自称しているためである。

・ 国家体制

ネフィ三大王家による王政。

ベッキオ・ネフィス、ルフ・ネフィス、アネル・ネフィスのネフィ神殿の盟約国である三国の末裔が、順番に国王を出すことにより成立している連合王国である。

こう書くとまとまりに欠ける印象があるが、ネフィの盟約から二百年以上も経過している現在では、三王家間の政治折衝は芸術の域にまで洗練され、他国に付け入る隙を与えない。

それよりも問題なのが、コーネルに対抗するために早急に周辺国を併呑した事情により、多くの王家や貴族を滅ぼさずにそのまま大貴族として遇したため各地に封建貴族が存在し、中央の王家があまり強権を振るえないことであろう。

結果的にクォーダ侵略の戦争においては、クォーダの参軍エスクと宰相エディウスに徹底的に利用される事になってしまった。

・ 軍事

常備軍 5個軍団約12万。

戦時には最大20万まで動員可能な事が確認されている。連合国家であるためか、非常に外交に長けた国家であり国際交流が盛んである。

そのためクォーダには及ばないまでも、兵器の発達は非常に優れている。

また、魔導師たちも多数在籍しており、各軍団に魔導師部隊を置いて、魔導による諜報、連絡、支援攻撃などを可能としている。今回登場する三国中もつともバランスのとれた軍事力を有する国家と言えよう。

コーネル

・ 首都 シャンバール
・ 人口 約1200万人

・概要

三国時代から王家の血筋を継承していると言われる、フォーリスでもっとも古い国家である。

中央アクロディアから移住してきたという由来を持つコーネルは、現在もその影響を色濃く残しており、フォーリスにあっては独自の文化を築いている。

国家の伝統として、フォーリスの他民族に対して敵対心が強く、鎖国とまでは言わないまでも国際社会の中で閉鎖的な印象を諸国に与えている。

・ 国家体制

フォーリスでもっとも長く続いた血筋を自称する家(姓は帝室の者だけに伝えられている)による絶対帝政を敷いている専制国家である。

皇帝がそのまま、この国の国家宗教である崇火教の教主を兼ねる祭政一致国家である。

封建領主というものが存在せず、世襲貴族と官僚による中央集権色の強い体制であり、国内の統制は非常に取れている。

恐怖政治にも近いような体制を持つ国家であるが、非常に歴史ある国家として国民は熱狂的にこれを支持している。

とはいえ、古びた中央集権国家の常として、官僚や貴族たちの腐敗は他国の理解を絶するほどに凄まじい。

それでも国家として成り立っている事で、逆にこの国の底辺の強さというものが伺える。

・ 軍事

常備軍 五個軍20万

宗教的ともいえる国内体制により非常に動員兵力が非常に多い反面、国際交流が少ないため、兵器の発達が遅れている。

ただし、祭政一致の最古国という事情からか、魔導師の数はフォーリスでも有数であり、この国の魔導師部隊による遠隔攻撃力は他国に対して非常な驚異となっている。

この国に長い間圧迫されていたラウルやクォーダにおいて銃火器が発達した理由には、このような事情もある。

ユファ

・首都 ユファ
・ 人口 約100万人

・ 概要

中洋海に浮かぶユフ島を根拠地とする海運国家。

フォーリスのみならず、西洋海の向こうの大陸ガリャや大陸東方ジャグリアとさえ交易している貿易立国である。

クォーダは傭兵師団の輸送をユファに頼んでいることから、両国の関係は深い。今回の戦いで、この国はクォーダとラウル間の講和の仲介役として重要や役割を果たした。

・ 国家体制

七人の大商人を代表とする評議会による合議制によって国家運営がなされている。

キャラクター設定概略

クォーダ

カシス・クォーダ 15歳

北方の小国クォーダの王子。

宗主国である大国ラウルに、留学と称した人質として送られて、今に至る。しかし、突然の父の死により祖国に帰って国を守らねばならなくなる。
小国の王子である上に、あの狂王シシスの息子という事でかなりの差別を受けていた。けっこう根暗で物事を悪く考えがち。

とはいえ、根は素直な子(笑)でそういう部分に惹かれて彼の新しい臣下たちは戦う事になるのであった。
薄い金色の髪と翠の瞳、年より幼く見える端麗な顔だちが特徴。

エスク・ガノブレード 22歳

ラウル南方のイエルナという片田舎の貧乏貴族の跡取り。

修士館でカシスと知り合い、その唯一と言ってもよい友人となる。天才的な戦略眼と謀略家であり参軍として抜群の資質を持ちながら、家格や性格の問題から認められず腐っていた。

毒舌家で皮肉屋、性格の基本は陽気だが、一方で何を考えているのか悟らせない部分がある。
シシスが死去したとき、このままラウルにいてもうだつはあがらないと見切りをつけて、カシスの後を追ってクォーダに向かい、カシスの軍師として活躍する事になる。
面長で年よりも老けて見える顔だちと鉄色の髪と瞳が特徴。

シシス=クォーダ 享年52歳

クォーダの狂王。戦さを好み、各国の戦いに姿を表し、クォーダ傭兵師団を率いて鬼神のごとく戦う事からこの名がついた。

小国クォーダが他国の侮りを受けないのも、彼の異名によるところが大きい。

だが、その実像は弱小国としてラウルの庇護下に入るしかなかったクォーダを、傭兵国家として仕立て上げ外貨を稼ぎ、国内に機械産業を興した名君。

彼の死により、クォーダが周辺国家から狙われることになるのは、火を見るより明らかであった。
若い頃はカシスに生き写しだったという。

エディウス・クォーダ 28歳

シシスの庶子。シシスと侍女の間に生まれたカシスの腹違いの兄。

王位継承権を持たぬ代りにシシスの甥としてクォーダの宮廷に入れられた。

後にカシスの補佐役として役に立つようにと、シシスに教育を受ける。現在では外征の多いシシスに代って、事実上内政を執りし切っていた。

シシスの死後、宰相に就任しクォーダの指揮を取ることになるが、彼の重大な欠点は軍事に疎い事であった。
苦労人らしい穏やかさを持っているが、カシスに対しては内心複雑なようである。

薄い金髪と碧顔の端正な男。

グランツ・アールコード 32歳

クォーダの騎士。腕が立って気の利く者としてネフィルに送られたカシスに付けられた騎士。

ネフィルでは執事として、公子宮を取りし切っている。この戦いでは、カシスが去った後のネフィルに残り、ラウルに対して一歩も引かぬ態度で公子宮を守り抜き、開戦後もラウルとクォーダ間の外交に尽力した。

クレップス・リデュー 27歳

クォーダ軍第4師団長。粘り強い用兵を旨とし、クォーダの国内防衛を司る第4師団を率いる。

ラデュス・ベルナ- 23歳

クォーダ近衛騎士団の右隊長。クォーダ1の剣と銃の使い手。

酒と女と喧嘩を愛する陽気な武頼漢。

颯爽とした性格と容姿の持ち主であるため、女性に人気が高い。

日常も戦いでも派手で豪快な事を好む。何故かエスクと意気投合し、近衛隊長ながら勝手に前線で暴れ回る。

リューダス 22歳

クォーダ軍第1師団長。孤児であったところをシシスの気まぐれで拾われ、その戦術を徹底的に叩き込まれた青年。

クォーダ1の合戦師として傭兵団としての役割も持つ第1師団の指揮を取っている。

部下の信望も厚い。

性格は陽気で単純な男だが、戦争に関しては天才肌の指揮官である。戦場でも食欲の衰えない大食漢。

カリュウト・ウェゲナー 21歳

クォーダ軍第3師団長。シシスによって拾われ教育され、跡継ぎの絶えた軍部の名門(と言っても小国ゆえたかが知れているが)ウェゲナー家を継いだ女性。

冷静かつ明晰な判断力で、兵士たちの信頼を集める知将である。

冷静で物静かだが、性格はかなりキツイところがある。

リューダスやリシナとともにシシスの下で兄弟のように育った。

リシナ・カラット 22歳

クォーダ軍竜騎兵団長。シシスが考案し、編制訓練していた実験装甲擲弾騎兵団の隊長。

リューダス、カリュウトとともにシシスに拾われて一から教育された。性格は3人の内で唯一穏やかで、温厚。

ただし戦場では信じられないほどの勇気を発揮する。

部下に対しても敬語を使う。リューダスとリシナはカリュウトに思いを寄せており、三人ともそれぞれの思いを知っており、三人は友情と愛情の危ういバランスを保ちながら付き合っている。

パルメール・リザン 24歳

クォーダ近衛騎士団の左隊長。実直で真面目な騎士。

右の隊長が前記したように、一騎駆けの武者的性格の持ち主のため実質近衛騎士団を取りし切っている。

ラデュスの親友。人の良い、苦労させられそうな人物。

マグナス・ガルト 57歳

クォーダ軍第2師団長。シシスによる軍制改革(ようするに頭の堅い老臣を排除して、自分が育てた若い物たちを軍の中枢に据えた)
にも必死で新たな戦術、操典などを勉強仕直して耐え抜き、地位を守り抜いた苦労人。若い連中から親愛を込めて”ジジイ”と呼ばれている。

リーリナ・ハイラウンド 17歳

クォーダの近衛騎士。

カリュウトに憧れ、シシスに頼み込んで軍に入れてもらった少女。シシスに認められただけあって、かなりの武術の使い手である。実はけっこう家柄のよい貴族の出身。

ウォルター・クリュグ 31歳

クォーダ軍第3師団、副将。髭のよく似合う伊達男。あまり強烈な個性はないが、いろいろ目配りの届く男で、女の身で軍を率いるカリュウトをよく補佐している。

パルティア 22歳

カシス付きの侍女。

カシスがラウルに送られた当時から仕えており、侍女というよりはカシスの姉のような存在である。

芯の強い女性で、あまりな重責を担ってキレたエスクに押し倒されそうになり、拳で殴って目を覚まさせている。

ほかにも戦いの後期にクォーダの都に戦火が及んだ時には従軍看護婦のような役割もしている。

マナ・バスティア

シシスの事故死の責任を取って自殺してしまった父ガイ・バスティアの跡を継いで、クォーダの兵器廠に勤めはじめた、女技術者。

性格は弱気。

短銃を専門に開発しているようで、エスクに新開発した拳銃を渡しているが、それは戦いの中で見事に暴発し、エスクの左手の薬指と小指を吹き飛ばしてしまっている。真面目で一生懸命なのはいいのだが、まだ経験が足りないようである。

眼鏡娘(ウケ狙い)。

ゲルダ・クルザード 26歳

クォーダにとっては貴重な魔導師の一人で、11人の魔導師を束ねる長でもある女魔導師。魔導の腕もさることながら、なにより非常に優秀な諜報の手腕を買われてシシスに仕えることになった。

ラウル

ネユーフ・ウダイ 42歳

ラウル軍第2軍団司令。国王の命を受け、クォーダ討伐に向かう。

与えられた仕事はこなすという、堅実な将軍。

部下の人心掌握を第一と考える人格者。

作戦、戦術などは信頼する参謀に預けて、自分が責任を取るというタイプの司令官。

ナルサス・ジャッド 31歳

ウダイ将軍の副官。修士館を卒業してから、ずっとウダイの下に付いている。

あくまで忠実でウダイの信頼を一心に受けているが、ウダイは、あくまで彼を副官止まりの人物ではないかと、心配している。

シーブル・ツォン 23歳

ラウル第2軍団参軍。修士館を優秀な成績で卒業し、今回のクォーダ討伐が晴れて初陣となる。

落第生であったくせに、クォーダの参軍に収まっているエスクに対して激しいライバル心を燃やす。

コンラート・ローゼ 25歳

ラウル軍第2軍団、右翼師団師団長。

大国ラウルでも珍しい女指揮官。数々の武勲を持つ有能な指揮官であるが、女指揮官としての知名度や評価ではクォーダの第2師団長カリュウト・ウェゲナーに及んでいない。

このことにかねがね気に病んでおり、いつか雌雄(という言い方は変だろうか)決したいと思っている。

ちなみについても美貌についても意識しており、戦場でも化粧を欠かさない。

クーベリオン・アネス・ネフィル 62歳

現在のラウル国王。

特に名君でも暗君でもない凡庸な人物である。在位27年を数える長期政権を保っているが、それはラウルの大貴族や3王家が、いずれもこの王ならば大過ふるまいと思っているという、消極的な指示によるものである。

リンファース・ルフ・ネフィル 37歳

ラウルの主席宰相で、次期国王と黙されるルフ・ネフィル王家の王子。

次期国王と言われているが、別に国王になってもならなくてもその権勢は揺るがないと言われているほどの、政治手腕の持ち主である。

恐ろしいほどの政治と謀略の才能を持っているが、どうも本人はその才能をラウルのために使うというより、自分の野心のために使おうとする傾向がある。

その野心とは言っても、その生まれのためか物欲も権力欲も名誉欲も薄く、ただフォーリス全土を混乱に陥れる事だけを楽しもうとしているという性質の悪いものである。
全キャラ中最高のペシミストである。

ストーリー概要

膝を屈すれば奴隷として生きねばならず、屹立するためには戦い続けねばならない。

貧しい少数民族の生きる術とは、概してそのようなものになってしまうのかもしれない。

少なくともフォーリス東部の山岳民族クォールの歴史とはその繰り返しであった。

いくつもの国家と文化圏ごとに分立し、かりそめの安定期を迎えているフォーリスにおいて、カウルスの山岳民族クォールは隣国ラウルの庇護と支配を受けつつ辛うじて独立国としての体裁を整えていた。

その小国家の名前はクォーダ、産業と言えば牧畜とささやかな鉱業があるくらいで、おそらくフォーリス史に名前以外のものを刻めよう筈のない取るに足らない国家として、その命脈を保ち続ける他ない弱小国家であった。
そう、この国の王家に一人の王が生まれるまでは。

シシス・クォーダⅧ。

幼名をそのままに名乗り続けるこの奇妙な人物は、まったく前例のない手段で自国を富ませようと考えたのである。

自国の民たちを傭兵として他国に売り、外貨を稼ぐ。

一見、破天荒どころか残酷にさえ見えかねず、他国であれば民どころか貴族たちからさえ猛反対されかねない方法であったが、この貧しい小国に限って言えば実に有効な手段であったのだ。
いまだ国民国家などというもののは概念すらない。

諸国の兵力は傭兵や奴隷、封建貴族たちの私兵たちが主力であり、徴兵は予備役戦力としてよほどことがない限り動員できなかった時代である。
しかし、クォーダの場合、かつて支配を受けていた隣の大国コーネルの搾取に耐え兼ねて独立した民族国家である。

国民と国家の間には小国特有の同志的連帯感があり、またその後も何度も他国の侵略から独立を守らねばならなかったという事情があり、早くから国民皆兵的な徴兵制度を敷いてきた国家であった。
シシスはこの小国のわりには動員兵力の多いクォーダの特性を活かして傭兵師団を編成し、自らクォーダ傭兵たちを率いて各地を転戦していったのである。

傭兵師団を率いて各地の戦争に参加していったシシスは、それによって外貨を獲得するとともに、各地の鉱工業技術を学んでいった。

シシスはクォーダを傭兵国家としてものの、ゆくゆくは自国の鉱工業を発達させ産業立国として成長させる意図を持っていたようであった。

しかし、その志半ばにしてシシスは事故死してしまう。

ところが彼の後を継ぐべき王子カシス・クォーダは、同盟国であるラウルの首都ネフィルへ、“留学”という名目の人質として送られてしまっていた。

シシス・クォーダという王は、自国民には圧倒的な支持を受けていた。

しかし、国王自ら傭兵たちを率いて他国の戦さに参戦するという一国の王としては考えられない行動好んで取るため、他国人には“血に飢えた狂王”、“希代の戦争狂”、果ては“殺人嗜好者”などというような理解の仕方をされていた。

また、シシス自身もそれをあえて否定する必要性を認めていなかったため、他国には概してシシスの評判はよくない。

また、自国の民を傭兵とするというシシスの政策も、他国の蔑みを買う原因となり、さらには傭兵とはいえ多くの他国人の血を流しているわけだから恨みも買っている。

貧しいクォーダを富ますためとはいえ、シシスの政策はかなりのリスクを負いながら進められたものであったのである。

そして、そのリスクを跳ね除けていたのが、シシスという国王のその実力をもって小国ながら他国を畏怖させていた政治的軍事的な才能であったのである。
さらに言えば、現在のクォーダには、シシスが諸国から集めて開発している優秀な軍事、土木、鉱工業技術、自国の民が血と命で購った資産などが集められており、周辺

諸国の征服欲を助長するには十分な魅力があったのである。

以上のような理由によって、シシスがその国家事業の半ばにして急死したのは、そのまま周辺諸国にとってまたとない侵略の機会を生み出す事を意味していたのである。

そしてそれは、同盟国であり王子の留学先であるラウルとて例外ではなかった。

事実上、人質同然と言ってもよい留学先で、密使より父の死の報を受け取ったカシスは密かにラウルを脱出し、母国へ帰る事を決意する。

このままシシスの死をラウルに知られれば、唯一の後継者であるカシスはラウルにどのように利用されるかわからなかった。

そのため目立たぬようカシスとクォーダから急派されてきた騎士クレップス・リデュー、侍女でありカシスの姉代わりであるパルティアのわずか三人で彼らの脱出行は始まる。

このとき、たまたまカシスと共にいたラウルでのカシスの友人のしがない下級貴族の跡取りエスク・ガノブレードは、カシスらの動向に不審を抱く。

そして、カシスらのクォーダへの帰還を知った彼は、カシスらを追跡し、半ば強引にカシスらを説得し彼らと同行することにしてしまう。

一方、偉大なる王を亡くしたクォーダの宮廷では、静かに政治抗争が繰り広げられていた。シシスによって政治や軍事の中枢より退けられていた老臣、貴族たちが力を盛り返し始めていたのである。

この事態に対し、政務主簿から宰相に昇進して政治の実権を握る事になったエディウス・クォーダは巧みな懐柔や謀略などで、彼らの面目を潰さないでいながら実務を自分と配下の官僚団に移して、シシス亡き後の混乱を収めていった。

しかし、内政面はそれで整ったものの、問題は軍部であった。
シシスには、ゆくゆくはクォーダの将来を担わせるべく育てていった子飼いの若者たちがいた。

政治官僚たちはエディウスが中心となってシシス亡き後も引き続き政治の実権を握ることができた。

ところが軍部のそういった若者たちには、政治抗争に巧みな者など存在がおらず、「経験不足の若者」に代わってシシスの軍制改革に付いてこれず更迭されていた老人たちが復帰してしまったのである。

なおも致命的なのは、軍事に疎いエディウスまでがその意見に賛同してしまったことであった。

第一師団長 メフメット・フォラス(元軍務主簿)
第二師団長 マグナス・ガルト(昇進なし)
第三師団長 名前未定(元第五師団長)
第四師団長 名前未定(元第六師団長)
竜騎兵支隊 リシナ・カラット(昇進なし)
第五師団長 リューダス(元第一副師団長)
第六師団長 カリュウト・ウェゲナー(元第三師団長)

第五、第六師団は予備役の師団であり、リューダスとカリュウトは事実上更迭されたも同然の状態になってしまった。

クォーダはもっとも有能な前線指揮官のうち二人を、戦前に自ら葬ってしまったのであった。

帰途において起きたいくつかの危難を、エスクの機転とクレップスの武勇によって乗り越えたカシスたち一行は無事にクォーダへと帰還することができた。

カシスはとりあえずシシスの仮葬儀を行い、クォーダにおける九代目の国王に即位する。

そして緊急に行われた会議で、エディウスはラウルがカシスが無断で帰国した事を理由にクォーダに非を鳴らしてくる事を指摘。

ここで老臣の一人が「何故、王子を無断で帰国させた」と非難するが、これはあまりにも愚かな見解と言うべきであった。

ラウルはカシスに帰国を許可しないといった形で、どのような形ででもカシスを拘束してクォーダを思うが侭にする事を画策しないわけがなかったのである。

実際、ラウルにしてもコーネルにしてもシシス亡き後のクォーダを征服してしまいたいのである。理由などはいくらでも考え付く事ができるというものだ。

以上の理由によってクォーダはラウルとコーネルに対する臨戦態勢を取る事を決定する。

そしてエディウスは全体的な戦略方針を、ラウルとの戦いを有利におさめて、なんとか対等な条件で和平を行うことを目標にすると軍部に通達する。

ちなみに外交方針としては、和平の仲介役としてはクォーダと親交が深く、国際部隊に大きな影響力を有するユファに決定。

さらにもう一つにの大国コーネルに対してはラウルとクォーダの戦争はあくまで両国間の同盟に関する齟齬が原因であり、介入は無用と通告し介入の名分をひとまず奪っておき時間を稼ぐ事を決定する。

このあと、二週間ほどラウルとクォーダは互いに身の入らない外交が続けながら、戦いの準備を進めていく。

そして、ついにラウルとクォーダは国交を断絶、宣戦布告文を交わし合い戦争状態に突入しあう。
この間、不思議な動きを見せる人物がクォーダにあった。

カシスとともにクォーダに入り込み、一時はラウルの密偵の疑いさえかけられていたエスクである。

彼はクォーダ国内を調査し、軍事の実権を奪われて腐っているシシスの教え子たちに取り入って、いつのまにかその纏め役のような形におさまってしまったのである。

最初の軍事行動はクォーダによって起こされた。

クォーダは国境にクォーダの喉首を抑えるような形で建設されていたベルツ城の攻略に乗り出したのである。

この城をラウルに抑えられたまま、ラウルとの戦いを始めるのはあまりに戦略的に不利であった。

また、国境の出口を抑えておけば、ユファとの交易が可能となり、クォーダの弱点である補給面を助けられる。

以上のような理由によって、クォーダは第1、第2師団を動員してベルツ城の攻略に乗り出す。

しかし、やはりシシスに更迭された者はそれだけの実力しかなかったのであろう。兵力において大きく勝っている筈のクォーダ軍は、ベルツ城の城壁をゆるがせることさえできなかったのである。

この事態を逆に好機と見たのがエスクであった。

彼は半ば強引にカシスを説得し、百人ばかりの親衛騎士とリューダス、ラデュスたちを借り受けた。

そして、リューダス、ラデュスとエスクの三人で夜陰に乗じてベルツ城に近づき、ラウルの修士館でのたくっていた時代に調べたラウルの暗号通信を使って、自分をラウル本国の使者と偽り城門を空けさせる。

彼らと親衛兵は、エスクの情報混乱とリューダスの巧み指揮、ラデュスの破壊的な武力でもって見事ベルツ城を陥落させてしまう。
そしてエスクの謀略はこれで終わらなかった。

彼は急いで帰国し、今回の戦いの指揮官であるメフメット師団長以下の老臣たちの怠戦行為(といってもただ勝てなかっただけなのだが)は、ラウルに通じて自己の保身を計ったためであると弾劾する。

もちろん完全なでっち上げだが、エスクは事実上政府首脳のエディウスと密談し、このまま無能な老臣どもを使うのは不利と説得する。

これをエディウスも理解し、エディウスはメフメットたちの更迭を通達し、再び軍組織の改変を通達する。

といっても、以下の人事は兵たちにとっては既定の人事として理解されていたものであり、こちらが自然な人事であるとして理解された。

第1師団長 リューダス
第2師団長 マグナス・ガルト
第3師団長 カリュウト・ウェゲナー
第4師団長 クレップス・リデュー
竜騎兵大隊長 リシナ・カラット
親衛大隊 右隊長 ラデュス・ベルナン

左隊長 パルメール・リザン

また、このクォーダ軍の総司令官としてカシスが就任。

自身も父に習って戦場に出る事を決意する。

また、その参軍筆頭としてエスク・ガノブレードが立ち、事実上全軍の作戦を指導することなった。
こうして、クォーダは望みうる最強の布陣で戦いに臨むことになった。

対してラウルは第2軍団を戦時編成とし、総兵力3万の軍を動員する。

率いるのは百戦錬磨の勇将ネユーフ・ウダイである。
(ラウル軍編成はまだ未設定)

ベルツ城にて行われた作戦会議で、エスクはリシナの竜騎兵大隊を前線とは別個の地域に派遣する事を命じる。

リシナの竜騎兵大隊は独立兵力として、ラウルの北部を荒らしまわらせる。これはラウル軍の補給を難しくさせるとともに、連合国家であるラウルの封建貴族に損害を与えて国内に厭戦気分を起こさせるという効果を狙った戦略であった。

さらに、細かく遠征スケジュールと連絡法を打ち合わせ、竜騎兵大隊を奇兵として使う事まで考えていた。

そして、ついに国境近く、シリュグ平原まで進出したラウルの第2軍団とクォーダ軍は激突する。

この戦いは、両軍とも正面から激突する総力戦となる。数において倍近い差をつけられているクォーダ軍は、各指揮官の巧みな指揮と優秀な火力を活かして互角に戦う。

そうして膠着状態で戦闘が3日ほど続き、さしものクォーダ軍に疲労が見え始めたとき、突如としてラウル軍の左翼の戦線が乱れる。遠征から帰ったリシナ率いる竜騎兵大隊が、ラウル軍の側面を付いたのである。この機を事前に知っていたエスクは全師団に対して全面攻勢を命じる。

この結果、ラウル軍の戦線は崩壊し、一度後方に退いて戦線の再構築を果たさねばならなくなる。

こうしてクォーダ軍は緒戦を飾るのだが、それでも兵の疲労や損耗は激しいものがあり、兵力差の不利さに総参謀たるエスクの頭を悩ませる。

ちなみにこういう愚痴の聞き役にカシスは回っている。

当然、この勝利を最大限に活かすためにエスクは勝利の報告と外交による和平交渉の打診を本国で留守を守るエディウスに要請した。
実際この時点で、前線で必死に戦っている第2軍の苦境をよそにラウルの本国では、早くも対等でもよいから和平と同盟を求める声が起きていた。

このためラウル軍はさらなる援軍を派遣することができず、前線司令官であるネユーフを悩ませるのであった。

両軍とも兵力の不足に悩むなか、再び戦いが始まる。

この交戦において、クォーダ軍は火力で圧倒しつつもネユーフ以下の前線指揮官の巧みな火力対策によって決定的な打撃を与えることができなかった。

兵力差を活かして敵の疲労を待つネユーフの作戦は完全に成功し、今度は苦戦に陥るのはクォーダの番であった。

ここで参軍エスクは始めて決定的な失敗を犯す。彼はリシナの竜騎兵大隊に大胆な迂回攻撃をさせ、敵の後方の兵站部隊を襲わせようとする。

しかし、これは完全にラウルの参軍シーブル・ツォンの予測する所となり、完全に失敗し、また只でさえ乏しい兵力の分散が戦線の崩壊を呼んでしまうのであった。

戦線が崩壊したクォーダ軍はベルツ城に退却する。

この戦いで殿軍となった第2師団の師団長マグナスが戦死してしまう。

被害こそマグナスの犠牲と引き換えに最小限に抑えられたものの、第2師団長の死と始めてのエスクの失敗が与えたクォーダ軍の精神的打撃はかなり大きいものがあった。

ここで責任をとってエスクは辞任を申し出るが、他に人がいないため慰留される。

ここで半ば半狂乱になりながらエスクの頭脳は、戦略の再構築を始める。

どうやらラウル軍としては第2軍に加えて新たな兵力を増援するつもりはなく、そのかわり第2軍が失敗するまで戦いを続ける模様のようであった。

逆に言えばクォーダ軍としてはラウルの第2軍を退ける以外に道はないのである。

しかし、早くも総力戦を支える後方支援に危機か生じ始めているクォーダとしては持久戦を取る事もできない。

さらに絶望的な事に、自国の国境での紛争に対する備えと称してコーネルが軍の派遣を決定したという情報がユファ方面からもたらされていた。
ここでエスクは残った将領たちを集めて。最終的な戦略というものの計画を披露した。

その常識を外した詭計に満ちた戦略計画は将領たちを瞠目させるが、戦略こそ王道を歩むべきと考えているエスクにしてみれば内心忸怩たるものがあった。

そして、戦いのこの時点を期に両軍にとって悲壮の度合いを増していくのである。

次の日、クォーダ軍はベルツ城を放棄し、自国に兵を引き上げる。

どうやら本土決戦に持ち込もうとしていると、その意図を見て取ったラウル軍はベルツ城を占拠し、ここを後方支援の根拠地としようとする。

その前に参軍であるツォンは城内に罠が仕掛けられている可能性を指摘する。

案の定、城内は無人の銃や擲弾、火薬などによる罠が多数しかけられていた。

そして、ラウル軍はついにクォーダ本国へと侵略を開始する。

クォーダ軍は防衛線の定石に乗っ取って、ラウル軍の損耗を強いつつ退き、ラウル軍を国内深くへ誘い込もうとする。

しかし、それはラウル軍も覚悟するところであり、山岳戦も含む戦いにラウル軍は苦戦しつつも確実にクォーダに兵を進めていった。

クォーダの国土はさほど広くはなく、いくらそのような戦略を取られたとしても、敵の首都を陥落させてしまうのは可能とネユーフと参軍たちは考えたのである。

そして、もうすぐクォーダの首都カイラスが臨みうる場所で、クォーダは最終防衛線を構築し、最終決戦をラウルに対して臨んだ。

しかし、それはラウル軍にとっても臨むところであった。

ここでエスクとクォーダ軍は最終的な賭けを開始する。

民たちをつかい偽装兵力とし、第三、竜騎兵大隊は健在と見せながら、両部隊は間道を伝いラウル軍の後方に出たのである。

そしてベルツ城を襲う。

ベルツ城にはエスクが仕掛けさせた最後の罠が残されていた。というより、ほかの罠はこの罠のカムフラージュであった。

城壁に擲弾が集中して投げ込まれると、城壁に仕掛けられた大量の火薬に誘爆し、ベルツ城の城壁の一画を崩し去ってしまったのである。
そして両部隊はベルツ城を陥落させ、ラウル軍の兵站線を破壊し、その糧秣を奪った。

そして、そのまま両部隊はラウル軍の背後を襲ったのである。

こうしてラウル軍は挟撃されることになるが、この場合挟撃する側より挟撃される側の方が強大であった。

しかし、敵国奥深くに侵入した兵はとかく不安なものであり、ましてや退路を断たれたとあればその同様は相当なものになる。

武力よりは心理的なものに訴えるエスクの戦略であった。もちろん、後背を突く部隊には必ず敵の退路を残して、敵を窮鼠にしないように命じてあった。
当然ネユーフは前面の敵を突破し、敵首都を落とせば戦いは終わると全軍を叱咤し、戦線を維持する。

クォーダの最終防衛線が崩壊するのが先か、ラウル軍の兵の動揺がネユーフの指導力を越えるのが先か、この状況を作り上げたエスクにとってみればこれは賭け以外の何ものでもなかった。

しかし、兵の士気より先に潰えたのはより失うべきものの多い、指揮官の士気であった。

前線の勇戦もむなしく、後背を衝かれて動揺した後衛師団の師団長が、ついに全軍退却の命令を下してしまったのである。
かくして、勝敗は決した。

これを機に全軍の士気は完全に崩壊し、指揮官の制止を振り切って兵士たちは退却を開始してしまったのである。

我が事ならず……、ラウル軍の司令官ネユーフはなんとか手勢をまとめて殿軍をつとめて兵士の退却を助けてやろうする。完

全に死を覚悟しての行為であった。

これに参軍ツォンも殉じようとするが、ネユーフはそれを許さず、この敗北を学び、次はクォーダの参軍を超えよと諭して退却させる。

そして、ラウル軍最期の抵抗とともにラウル第2軍司令官ネユーフは戦死する。

この後、前線の兵士たちの犠牲など異国の出来事であるかのように、ラウルとクォーダは和平を結び、クォーダはラウルに対して対等の条件での条約を勝ち取ったのである。

死んだ兵士たちにしてみれば、いい面の皮であるが国家の対面にとってみれば兵士の犠牲など取るに足らないものでしかないのである。

かくして別名、クォーダ第二の独立戦争と呼ばれたラウル・クォーダ間の紛争は終結する。(前編、終わり)

後編は疲弊しきったクォーダに襲い掛かるコーネルをラウル軍とともに撃退する戦いと、営業再開した傭兵師団の活躍を描く予定。

・ちなみに当然のことながら、この基本ストーリーに各キャラクターのエピソードを交えて、キャラクターを立てる事になります。

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