-もみじ- 『ワタシ…人形じゃありません…』

2chで一時期だけブレイクしたマイナーと言ってもいいゲームについて語る。

特に語るべきことがなくてもヒットしたエロゲーはたくさんある。
別に語ることの多い名作だけ残せばいいってもんでもない。

-もみじ- 『ワタシ…人形じゃありません…』

 もみじたんハァハァ……(;´Д`)それだけのゲーム……

2001年ゴールデンウィーク中、とある意外なソフトがヒットし、2chの当該スレッドでは(;´Д`)の文字が散乱する。通称、“干からびゲー”と言われたこのゲーム魅力とは?

もみじたんハアハア……(;´Д`)

それ以外に語りようのない良作というものもあるもんである。4月27日に発売されたこのソフトは、決して大手メーカーの注目作でも葉鍵の新作でもなかったが、即日品切れ状態を各店舗で演出するという、意外なヒット作となった。

決して感動するシナリオがあるわけでも、ゲームシステムが優れているわけでもないが、2chを中心として口コミ的に広まっていったこの作品は、実に昨今の美少女ゲーム業界に何が足りなすのか考えさせてくれる作品である。

ゲームの内容は簡単である。はっきり言って『セーラームーンR』のセーラーサターンか『痕』の楓を思わせる、小柄でおかっぱの無口な俯き加減のダウナー系美少女、城宮椛を部屋で、学校で、風呂で、ひたすらに“いぢめる”。ただそれだけの作品だ。

しかし、この破壊力が物凄かった。「……」の中の表情まで演技する担当声優の声、バリエーション豊富な上にフィニッシュの“場所”まで決められるエロシーンの充実ぶり、セックスそのものだけでなく木目細かなヒロインとの交流……、などなど作品全体がいかにも被虐光線を発している小動物系の少女を虐待というほどの過度さではなく“いぢめる”ことだけに一点集中突破された作品なのである。

とにかくヒロインの椛の魅力を引き出す以外に何も考えられていない、そしてそれだけに椛にハマったときの破壊力は大きい、そのため2chの当該スレッドでは「もみじたんハアハア……(;´Д`)」「すっかり干からびちゃったよ」などの文言が立ち並ぶという、まったく美少女ゲームの本来の姿であるエロゲーとしての側面を見事に表した作品となったのである。

この作品の大きな特徴として挙げたいのは、セックスそのものによるエロスよりも、むしろ日常に存在するエロスである。単なるキスシーンや一緒に弁当を食べるといったシーンの方がむしろセックスよりもエロいといわれる不思議な面をもの作品は持っている。このヒロイン城宮椛は、ほとんど人格というものを持っておらず、ただ虐められることによってのみ、人格が表現されるといったキャラクターである。そのような被虐体質のキャラに対して、抱く欲望にひたすら忠実である。そのため椛というキャラに対する感情は、いじめる事とセックスの対象として収斂されてしまう。その結果、ふとした日常の描写に現れる彼女の人格にすら、加虐心と欲望を伴った不思議な愛情を抱くようになっていくのである。ゲームの性格上期せずしてそうなったのだろうが、単なる抜き目的以外にそこまでの感情を抱かせるような作品に仕上がっていたのは見事であると思う。

もうひとつ特筆すべきは、異常なまでのキャラにマッチした声優の演技であろう。前述したが悲しいときの「……」とムッとしているときの「……」を、息の飲み方などで表現しているのには、正直驚いた。実際のところ、城宮椛の魅力にほとんどすべてよりかかったと言っても過言ではない、この作品の魅力の少なくとも五割は貢献している。有名声優を起用した(公式には語られていない)らしいが、それを声高に主張してセールスポイントとしたわけではなく、声優の本来的な魅力である声自体がセールスポイントでうった点はおおいに業界に対する皮肉っぽい笑いを浮かべつつ評価したいと思う。

この作品で面白かったのが、2chのスレッドなどでは確かに評判もよく、そしてなかなかのセールスを記録されたこの作品だが、数多くある美少女ゲームサイトでは一様に歯切れの悪い評価しか得られなかった。それはそうだろう、葉鍵系を代表とするいかにもいろいろ語ってくださいと言わんばかりの小難しい屁理屈や物語性など一切排除されたシナリオであり、ひたすらエロを追求しただけの作品なのだから。

さらに言ってしまうとシステム回りもあまり出来がよくない上に、バグも多かったので、さらに減点の対象になってしまうのも無理からぬところであったろう。ちなみにバグに対しては実にメーカー側の対応しよく、発売日翌日からほとんど数時間ごとにバクフィックスしたアップデートプログラムを作ってはサイトにアップしていたという努力が伺えたのは好感度が高かったのではあるが。

しかし一方でこのような作品を語りきれないというあたりに、美少女ゲームの受け手としての論客達が、エロスを語る事に対する脆弱さという馬脚を現してしまったのも事実であろう。感動や物語は語れても、エロスは語れない。という、なんとも本末転倒ぶりには、現在の美少女ゲームという市場における大いなる皮肉とは言えないだろうか?

ともあれ、かわいい女の子を弄ったり、エッチしたりする事の魅力を追求しまくったという、ある意味潔いとも言える制作姿勢は好感が持てる。また、そのためにどうも2chの研究をしているようで、中出しいやがりなどのユーザーの素直な要望を取りいれるという努力も欠かさない、そんな姿勢がヒットに繋がったのであろう。願わくば、下手にストーリー性の追求など目指さず、現在よく持っている趣味性の部分を維持しつつ強化していってもらいたいものである。

(;´Д`) それ以外に語る必要も実はない作品ではある。

↑有り余るセックスシーンがありながら、キスシーンがもっともエロスを感じるという不思議な作品でもある

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