CRPGの存在と進化 ウルティマシリーズ 大君主の見せた究極の地平

大君主の語りし究極への地平というフレーズが今でも気に入っている

究極への地平と

大君主去りし後

恐ろしい事実がある。今回特集されているフィールド型のRPGは、いきなり『ウルティマⅠ』によって誕生し、そのシリーズともに進化してきた。

すでにウルティマⅠにおいては、大陸があり、そこにはモンスターがうろついて、その中に町やダンジョンがあり、モンスターを倒しながら強くなって、魔王モンデインを倒すという、いわゆる「RPGのお約束」はこの時点で完成されていた、1980年、今から26年前の出来事である。言ってしまうと、世界は宇宙まで広がり宇宙船に乗り込んだりもする。一時期、ドラクエやFFが乗り物を売りにしていた時代があったが、すでにウルティマはこの時点で宇宙船である。さらに意外かもしれないが、このフィールド型RPGの原点において、戦闘は世界マップそのままで処理されるという、今流行のシームレスバトルであった。むしろシームレスへの流れは新機軸ではなく先祖がえりとも言うべき現象なのである。

さらにⅡではタイムワープが登場し、Ⅲではパーティプレイと戦闘がフィールドマップから切り替わるタクティカルコンバットへと進化する。

そしてⅣにおいて、それまであやふやであったウルティマの世界観が完成し、いわゆるブリタニアの町が設定される。ここからウルティマはシステムの進化より世界の完成度を目指すようになり、Ⅴでは時間の経過と住民の生活サイクルまでが設定され、Ⅵではすべてのキャラクターが音声でしゃべるようになっていく。【追記・Ⅵが音声でしゃべるのはTOWNS版のようです】

Ⅶ、Ⅷではクオータービューによってさらに世界が立体感を帯び、Ⅸにおいては完全にフィールドや町までもが3Dでリアルタイムに表現されていくのである。そして、ウルティマはスタンドアローンから飛び出し、ウルティマオンラインという世界初のMMORPGにまで広がっていく。

紙面が足りないので駆け足で説明したが、ゲームシステム、グラフィック表現、世界設定、オンライン化に至るまでウルティマというRPGのシリーズは、原点でありながら最先端を行き続けていたシリーズなのである。

ウルティマの作者であるロードブリティッシュことリチャード・ギャリオットは、ウルティマシリーズを通じて先駆者であり、またその知名度と人気によってRPG全体の進化と普及を促してきた、まさにRPGにおける啓蒙型君主そのものであったのである。

ウルティマの驚くべき部分は、グラフィックもゲームシステムも、シリーズの殻に閉じこもる事は一切せずに、前作の原型を留める事すら忌むべきものにしていったほどの進化を希求していった部分だろう。なにしろ、自ら戦闘型RPGの原型を作りながら、Ⅳでは戦闘を否定するようなシステムを取り入れてしまうのだから、そのゲーム設計の思想はラジカルとしか言いようがない。このあたり、十年一日のごとくお約束を守り続けねばならない国産人気シリーズとは、意識がまったく違うと言ってもよい。

ロード・ブリティッシュというコンピューターRPG世界を生み出した大君主は、まさにその名の如く究極の地平を求めて、自ら率先してゲームシステムもグラフィック表現もストーリーも切り開き続け、果てはスタンドアローンの壁すら取り去っていったのだ。

言ってしまえばコンピューターRPGはウルティマ(正確にはその前作である『AKALABETH)によって誕生し、そのシリーズとともに進化していったと言っても過言ではない。

むしろ、リチャード・ギャリオットがEAを去り、ウルティマが新たな作品を生まなくなって以降、RPGというゲームジャンルそのものが、欧米ではすでにゲーム文化の主流から完全に外れてしまい、日本やアジア圏では情けないほどの停滞と迷走を続けている。

大君主が常に見せてくれた究極への地平。それがウルティマというシリーズであり、RPGという分野はウルティマの後追いを続けながら、それぞれの売りをなんとか模索する事で普及していったものなのかもしれない。寂しい結論かもしれないがオンオフを問わずRPGというゲームジャンルが閉塞感を漂わせているのもまた事実だ。

↑ウルティマⅠでその後のRPGのお約束は9割方完成してしまっていた。

↑タロット占いのようなものでキャラクターが設定される新機軸なⅣ。

↑アバターは現代人でブリタニアの異邦人というのは何かの暗喩だろうか?

↑恐ろしいことにUOを越える完成度のMMORPGも未だ存在していない……。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

コメント

  1. onigi より:

    記事、大変興味深く拝読いたしました。

    ただ、本文中に「Ⅵではすべてのキャラクターが音声でしゃべるようになっていく。」とありますが、この表現には語弊があると思います。音声は日本でのみ発売された後発のFM-TOWNS版独自の要素であり、Ⅵ自体の特徴ではないのです。