エロゲー今昔物語

俺がこの原稿書いたころはまだ2000年代初頭。エロゲーブームのちよっと前だ。

その頃に書いた、エロゲーの昔話。

もはや画像さえ探すの大変だぞ……

ゲームご隠居昔語り

昨今のエロゲーの隆盛ぶりは、すごいもんじゃのう。もうパソコンゲームは海外ゲームとエロゲーとコーエーだけが存在しとると言っても過言じゃなかろうて。

こんな状況を、古くからのパソコンゲームファンは嘆いておるのか? ふぉっ、ふぉっ、ふぉ、本当に古いファンはのう、パソゲー黎明期こそエロゲー全盛で、コーエーだのエニックスたの日本ファルコムだのがエロゲー出していたのを知っとるからのう……。

エロゲー今昔物語

いきなりだか筆者がはじめて遊んだPCゲームはMZ-1200の『野球拳』である。グリーンモニターに映る、出来の悪い性別すらさだかでないアスキーアート、いや、アスキーアートと呼ぶのも失礼な記号の集合を脱がすゲームであった。なにしろ、ベーシックで作られたゲームで、確か発売元はハドソンであった。

もちろん、こげなもの実用に値するワケもなく、ただパソコンでジャンケンゲームができるという新鮮さに感動しまくってしまい、むしろそっちのほうが新鮮で感動で興奮だったものである。

こんな時代、こんなプリミティブなゲームが作られるほど、ゲームでエロを表現しようとする試みは古くから行なわれていて、ほぼゲームの歴史と軌を同じくすると言ってもよいくらいなのだ。

話はゲームの草創期とも言える1980年代前半から始まる。

はっきり言ってしまうと、エロゲーの歴史を調べると思いっきり老舗ソフトハウスの古傷に触れまくってしまうので、実に愉快痛快にことになるので、かさぶたをはがす気分でワザワザ触れまくってみたいと思う。

さて、エロゲーの元祖はいとも簡単にみつかる。日本最初の光栄マイコンシステム(現コーエー)の『ナイトライフ』である。内容は“夜の家族計画”ソフトで、カレンダー機能がついており、線画による画像によって“本日オススメの体位”が表示されるという、実に余計なお世話のソフトであった。ようするに、“夜の家族計画”の名の下に、エロ絵をパソコンで見せたという実に回りくどい手法のエロゲーである。

実はコーエーは、わりとエロゲーの老舗として有名メーカーで、『団地妻の誘惑』、『オランダ妻は電気ウナギの夢をみるか?』、『マイ・ロリータ』などというエロゲー初期の名作を数多く世に出している。

ただコーエーはエライもんで、これらの過去を隠そうとしなかったり(しばしばログインなど、雑誌上でネタにされている)、『ジンギスカン』シリーズにオルドを導入したり、『三国志Ⅱ』でけっこエロな貂蝉イベントを入れたり、『伊忍道』で奥方とアレしたりなどという、真面目なゲームでありながら、あえて地雷踏むような真似さえしている。けっこうエロにはサバけたメーカーという印象があるのがコーエーだ。ちょっとだけ、エロゲー業界に戻ってきてほしいメーカーではある。

逆に、そんな過去は“なかったこと”にしてしまいたいメーカーはたくさんある。

その代表がエニックスだろう。今でこそ、ゲーム業界最大手ヅラをしているが、かつては『女子寮パニック』、『ロリータシンドローム』などというエロゲーを出している。こういった過去は、今の輝かしい名声からすれば消し去りたいだろうが、エニックスの最初のエロゲーだけは恐らく永遠に残らざるを得ない。

『マリちゃん危機一髪』、この作品は、堀井雄二、森田和郎、中村光一などを輩出した、ゲーム・ホビー プログラムコンテストの第一回受賞作品である。おかげでこのゲームの名は、未だにエニックスの公式サイトにも残ってしまっている。

さらには、セガを傘下に入れたCSK。ここは『オフィスラブの手ほどき』、『温泉ミミズ芸者』など、実にオヤジくさいノリが特徴のエロゲーをたすう出している。筆者が笑ったのは『道鏡』で、これは昔から巨根の象徴として有名で、一度は帝の位にまで上り詰めようとしていた怪僧道鏡をテーマにしたエロゲーで、お相手はもちろん当時のやんごとなきお方である。イデオロギー的な意味で、よくこんなもの出せましたなという作品で、PCゲーム自体がマイナーであったからこそできた離れ業であった。

さあ、話はまだ続く、一時期はPCゲームを制する勢いだったニホンファルコム。今はライトファンタジー路線でカマトトぶってますが、ここだって『女子大生プライベート』とか出してます。さらに言えば、このメーカーの初期の名作である『デーモンズリング』にもエロなシーンはけっこうありました。

またみんなよいこのゲーム雑誌『ファミ通』のアスキーだって負けちゃいない。日本発と思われる人工無脳ソフト『EMMY』や『メイズパニック』といったエロゲーを出しております。ここの場合、けっこうゲーム性を重視しようとしているのが特徴といえるだろう。

このようにエロゲーの草創期というのは、すなわちゲームの草創期と言えるほど、今をときめくメーカーの地盤に潜る人柱のように、エロゲーは各メーカーを支えていたのだ。

この草創期のエロゲーの特徴として。ジャンルというか嗜好の二分化が上げられる。

ひとつはロリータ路線。この時点ですでにロリコン路線が確立されていたのは、なんだか日本人の心の深奥を覗いてしまったようで、なんだかブルーになるが、エロゲーの創生と同時にロリゲーはあったのだ。

そのロリ路線の雄と言えば、PSKをおいてほかにない! ロリ専用メーカー、すなわち三倍の早さ! とも言うべきこのメーカーは『ロリータ』、『ロリータ野球拳』、『ALICE』など一貫してロリコンゲームを作り続けてきた、ある意味非常に男らしいメーカーである。ここがロリータ路線の決定番として出した『ファイナル・ロリータ』は、古代エロゲーマーの心に必ず残る名作である。

ちなみにこの路線では、光栄の『マイ・ロリータ』というロリ娘を手術(!)したり、浣腸したりと、とんでもないゲームがあったという事も付記しておきたい。

もうひとつの路線が、劇画調アダルト路線である。ようするに、オヤジ好みな、大人の女路線ですな。

こちら方面の雄はやはり、マカダミアソフトであろう。『ドンファン』、『マカダム』といった、けっこうリアルタッチの美しいグラフィックで展開されるここのエロゲーは、まさにアダルトゲームとしての存在感を醸し出していた。

そして、後にこのメーカーはエロゲーの歴史に永遠に残るデあろう作品を“出してしまう”、その名は『177』。知っているも多いかもしれないが、女の子を横スクロールアクションゲームでとっ捕まえて、レープ。レープ画面では腰をヘコヘコ動かして、娘をイカせれば結婚、自分が先にイッてしまえば逮捕という、実もフタもないゲームである。当時としてはグラフィックの質も高く、マカダミアソフトの高い技術力を示したゲームであったが、それが逆にアダとなった。

この強姦というテーマが悪かったのか、公明党の議員によって国会で取り上げられてしまい、エロゲー初の発禁になったある意味もっとも知名度の高いソフトである。

また、この時代からアリスソフトの前身である、チャンピオンソフトが多数のゲームを出していたという事も特筆しておきたい。

1985年。エロゲー業界にとって、ある意味ブロックバスターとなるソフトが発売される。

『天使たちの午後』(ジャスト)である。学園のヒロインをゲットするという、今でも定番の学園アドベンチャーであるが、“今でも定番”というあたりにこの作品の影響の強さがうかがえる。

ヒロインがエロ教師に脅されていいなりになっていたり、つきあっていた彼女と別れたりと、当時としては起伏に富んだストーリーが展開され、キャラクターもいようなほどに立っていた。事実上、エロゲーにドラマ性とキャラクター性を持ちこんだといってもよい作品である。

それまではゲーム中の女の子たちは、ただエロ画面を提供するだけの存在であったものが、ちゃんとドラマもある活きたキャクターとして存在感があるとして新化したのである。

またロリでも劇画調でもない、とっつきやすいアニメチックなグラフィックと、そんな絵でエロシーンが展開されるという事で、当時のゲーマーたちの衝撃は大きかった。少なくともゲーマーの間でのエロゲー地位はこの作品で確立したと言ってもよいだろう。

実はこの80年代後半にかかる時期は、『くりぃむれもん』をはじめとするエロアニメ、森山塔、戯遊郡、もりやねこといったエロマンガなどが隆盛しはじめていた時期であり、二次元媒体が本格的な性の対象としてオタクたちの間に認知されはじめていた時期であった。

『天使たちの午後』のヒットはパソコン雑誌にも影響を与える。『テクノポリス』が“美少女ゲーム”という言葉を開発して、何度も特集を組み、かの有名な『コンプティーク』が“福袋”を挿入しはじめる。この『コンプティーク』の福袋は、エロゲーだけでなく。アダルトビデオ、エロアニメ、エロゲー、エロマンガと二次元抜き媒体を網羅した、当時の少年にはあまりに下半身に対する影響が大きいバイブルであった(そういや、吊端激彦の日本オナニー連盟はどうしたんだろうねぇ……)。

さて『天使たちの午後』以降、80年代後半は第一次エロゲーブームといった時代であり、ソープランド経営シミュレーション『ソープランドストーリー』、ランスシリーズの第一作『Rance -光を求めて-』が発売されたり、コンパイルが“もものきはうす”というメーカー名で参入してきたり、一部にしかわからんだろうが『ピンクソックス』シリーズが始まったり、ガイナックスが『電脳学園』出したり、『HARDの社長が社員に面白いと認めさせたクイズ第一弾、君も成田へ行って勝手にじゃんけんしよう』 というキチガイじみたタイトルのソフトが出たり、普通にRPGとしてよくできていた『カオスエンジェル』が出たりと、非常に混沌としつつも楽しい時代が展開されていた。

こんな時代に台頭してきたのが、フェアリーテールとさらにそこから独立したエルフである。

1987年に『殺しのドレス』、『女性心理学入門』、『リッブスティック』などのソフトで参入してきたフェアリーテールは、“粗製乱造”とも言えるくらいの多作ぶりに市場を席巻していく。ただ、このメーカーはほとんどめぼしいヒットを生まない事でも有名になるのだが。ただ、ここが発売した『X指定』シリーズは過激さが売れたと同時に、司直の手が入るという薮蛇を招いたりもしている。ちなみに、このシリーズは中古ショップで数万円もするそうな、確か筆者も実家にあったぞ。

そして1988年に『ドキドキシャターチャンス』でデビューしたエルフは、『ドラゴンナイト』シリーズ、『DE・JA』などの高いゲーム性とドラマ性を持った佳作を連発し、知る人ぞ知るメーカーとなっていく。

そして90年代、ここが一般ゲーマーにさえ認知されるようになるのは『ELLE』によってである。アイコンで好きなところ(そう女の子の体もだ)をクリックしつつ話が進んでいくアドベンチャーであるこの作品は、そのストーリー、魅力的な原画、後に“芸術”とさえ言われるようになるドット塗りなどにより、記録的なヒットとなる。ログインのランキングで初めて1位を獲得するという快挙をなしとげた、この作品はエルフを一般ユーザーに印象付けるとどうじに、エルフ自体の大作嗜好を決定付ける。そして何よりも、エロゲー業界自体の質的レベルアップを強いることになる。

90年初頭のエロゲー業界は、まさにエルフの時代と言ってもよかったかも知れない。『DE・JA2』、『』

また90年代初頭に頭角を表したのは、“西の雄”アリスソフトであろう。今の活躍ぶりを見ると意外かも知れないが、前身チャンピオンソフト時代から見れば老舗とも言えるこのメーカーは『ランス2』の小ヒット、『闘神都市』のヒットまでは、倒産寸前だったというほど芽が出なかった。このメーカーにとってブロックバスターとなるのは『ランスⅢ~リーザス陥落~』で、このソフトもエルフの『ELLE』と同じく一般ユーザーにすら認知される作品となる。その後『闘神都市2』や『鬼畜王ランス』など、ゲーム性とストーリー、キャラ性を兼ね備えた作品を発表し続けて、“西の雄”という現在の地位を確立したのは90年代中盤と意外に最近なのである。

そして1992年。ついにエロゲー業界に史上最大のブロックバスターとも言われる作品が登場する。

そうエルフの『同級生』である。

高校時代最後の夏休みにおける女の子たちとの恋を描いたこの作品は、題材もさることながら複数のヒロインを好きに選んでエンディングまでもっていけるという真の意味で“キャラ萌え”を開放し、イベントの串団子風の連続的なフラグの立て方でストーリーを進めるという画期的なゲームシステム、竹井正樹原画・エルフ彩色という当時一般ゲームにもなかったような美しいグラフィックなど、ヒットする条件をすべて兼ね備えた作品であった。

そして、当時続編の連続ですっかり一般PCゲームがマンネリ化していたため、ついに一般ユーザーはこう思うようになっていく。

ショボイ一般ゲームやるよりエロゲーのほうがマシと。

pcゲームユーザーの意識を激変せしめたこの作品によって、ついにエロゲーはPCゲームの一ジャンルではなく、PCゲームを凌駕する別なゲーム市場として確立するのであった……。

その後、『鬼畜王ランス』、『同級生2』、『TO HEART』などなど、数々のヒット作が生まれて、この市場が広がっていったのは、もはや言うまでもないことだろう。

PCゲーム草創期からの腐れ縁とも言うべきエロゲーは、今やPCゲームの代名詞的存在となっている。だが、それは決して嘆かわしい事ではなく、原点回帰ても言うべき状況なのである。

ただ今のエロゲーメーカーからエニックス、コーエー、アスキーが生まれるのか? と言えば、それだけが相違点になるのかもしれない……

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク