『行殺 新撰組』

昔々、歴史女体化ゲームなどというものがメジャーになる遥か以前、エロゲーで女体化ブームの嚆矢となったゲームがあったそうな。

そんで元ログインでコーエーとかにディープにハマってた私は、コーエー担当者にもれを言ったのであったテテンテンテン

『行殺 新撰組』

筆者は半ば本気で、こういう暴言を俺は吐いたことがある。

コーエーの出した幕末物の代表作である『維新の嵐 幕末志士伝』のシナリオを書いた人物と飲んだとき、

「俺的には、『幕末志士伝』より『行殺 新選組』のが上っすね!」

もちろん、それを聞いてその人物が酢を飲んだような表情になった事は言うまでもない。

しかし、これは酔った勢いだけの暴言ではなく、シラフの今でも本気で主張してのける自信がある。

俺はそれほど、この作品が好きだし、歴史ライターの端くれとして認めてやりたい作品なのである。

はっきり言って、内容はゲテゲテと言えるだろう。

なにしろ近藤勇か近藤勇子でぽややんとしてるけど実はしっかり者の

マゾ娘。土方歳三が土方歳江になってて、いつも厳しく人を追い詰めるクールビューティのサド女。沖田総司が沖田鈴音で、眼鏡娘でチビで病弱の三拍子揃ったお約束。永倉新八は永倉新で、プチマッシブの体育会系娘。原田左之助は原田沙乃で、冷静沈着なのにキレるロリ娘。芹沢鴨にいたったはカモミール=芹沢という金髪でバテレンのナイスバディで行動支離滅裂の淫乱娘。

と各種取り揃えたラインナップの娘さんに化けてるし、時は幕末といっても階増人間、銃器、魔法、オカルトなんでもアリのパロディ世界。

ほとんど幕末、新選組、といったところはどこへやらといった世界だが、やってビックリお客さん。実に意外なくらいツボを抑えて歴史ファンたちを狂喜させてくれるんだわ。

まずはキャラクター。

近藤がぽややんとした娘でマゾってのは、最初どうかと思うけどプレーしてみると、仲の悪い土方と芹沢をうまくまとめているなど、真面目でしっかり者の“クラスのまとめ役”をちゃんと果たしていて、実にうまく“局長”しているんだわ。あまりウマく作ってあるんで「こっちの近藤もアリアリオッケー」になる。

次に土方は、これはほとんど実物どおり。冷静「局中法度」で人を縛り付け、斬るわ斬るわの粛清の嵐。冷たいサドのクールビューティーの魅力を余すとことなく発揮しとります。んでも、ちゃん豊玉師匠として俳句ならぬ“ポエム(ちなみに作品中に出てくるホエムもちゃんと、土方の俳句をアレンジして出てくる)”作ってるし、洋装似合うし(これだけでも判る人にはネタバレになるな)、ときどきボケるし。こう言っちゃなんですが、『燃えよ剣』の土方と同じ位素敵な土方キャラになっとります。

このゲームで感心したのは、普通の新選組物でも単なるバカな悪役にされがちな芹沢の扱い。この作品では、芹沢は強くて無茶苦茶で周囲を自分のペースに巻き込むけどだけど、妙に孤立していて寂しげなキャラとして扱われていて、そのキャラの掘り下げは数ある新選組物でも屈指の、魅力ある芹沢像になっているのだ。この芹沢を見るだけでも、新選組ファンならこのゲームをプレーしろと言いたいくらいだ(言ってるけど)。

ほかにも沖田が、病弱で眼鏡のくせに、何考えてんだかわからん不気味ちゃんだったり、

永倉の体育会ノリはあまりに違和感なさすぎだったり、

冷静で賢い原田というのも違和感あっていいなぁと思ったり……。

とにかく思いっきり史実を無視しているように美味しい部分はしっかり抑えているキャラクターの造形には、作者の幕末に対する思い入れが非常に感じられる。ただエロゲーにするために新選組キャラを美少女にしたんではない、ということをいやというほど感じさせ、下手に真面目に歴史を描くよりも活き活きとした魅力のあるキャラクター作りに成功している

しかも、このゲームのスゴイ部分は、そこまで思い入れしながらも、ギャグ満載、パロディー全開でほとんどバカゲーの範疇に入るほど、幕末世界を破壊しまくっている部分にあるのだ。笑えるぜー、資金調達の手段が「押し借りクイズ」だし勤皇得の志士はキンノーという人外魔境の化け物ばかりだし。やんごとないお方を○○しちゃうシナリオがあったり、衆道シナリオがあったりなどとやりたい放題である。

しかし、それがいずれも「コイツラわかっててやるってるな」というような確信犯的開き直りがあるので、湯寝せてしまうのだ。

最初「新選組でエロゲーかい」と、なんだか冒涜のように感じたのであったが、フタを空けてみれば歴史ファン、幕末ファンをうならせるようなディープでマニアックで愉快でナイスな作品に仕上がっていたのである。新選組がみんな女という、ありがちっちゃあありがちな設定で、よくここまで面白く作れるもんだと広井王子に教えてやりたいくらいだ。

ただ反面、ゲームとしての完成度(パラメータのほとんどが意味ないし、シナリオも一度の分岐以降ほぼ一本道)やHシーンの充実度(各キャラほぼ一回)などに疑問符が残るので、エロゲーとしてはどうなんだろうとは思う。

むしろ、このゲームは真面目くさってコーエーの歴史ゲーを遊んで「信長のカリスマがどーの」、「孔明の知力がこーの」言っているような人間に遊ばせたい、そしてカルチャーショックを与えてやりたいゲームであるように思える。

なんだか、エロゲーについてんだかけ歴史ゲーについて語ってんだかわかんない、中途半端な文になってしまったが、そういう妙な不可分さがこのゲームの最大の魅力であるのた! と読者を煙に巻いて、この稿を終わりにしてやりたいと思う。

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